第1回 東京大学

病理学教室 阿部浩幸

東京大学病理学教室は日本で最も古い病理学教室で、明治20年(1887年)に創設され、130年以上の歴史があります。かつてはウサギの耳にコールタールを塗って世界初の人工発がんに成功したことで有名な山極勝三郎先生も教授を務められました。現在は基礎講座である人体病理学・病理診断学分野と附属病院の病理部とが一体で運営され、教員15名を含むスタッフで病理学の教育、研究、診療に携わっています。胃癌を中心に様々な臓器・疾患について、病理標本を用いた解析(免疫染色、FISH、質量分析、ゲノム解析等)や各種の実験的手法(細胞株、マウス、オルガノイド三次元培養等)を用い、病気の成り立ちについて追究しています。また病理解剖では死後CT画像を導入し、全例をカンファレンスで検討する等、高い教育効果を挙げるべく努めています。近年は病理医不在ないし一人病理医の病院を対象に術中迅速等の遠隔病理診断を行い、地域医療に貢献しています。

「ゲノム医学・死因究明・遠隔病理診断に強い病理医」という「つなぐ」プロジェクトにふさわしい教育環境が整っています。病理医を目指す皆さん、ともに学びましょう!

法医学教室 槇野陽介

福島関東病理法医連携プログラム「つなぐ」の一つのテーマは死因究明の知識を身に付けた病理医の育成であり、参加する大学院生には、法医学を研修していただくことになっています。いよいよ本年度より一期生の法医学研修が始まります。

東京大学法医学教室では、法医解剖および、週二回のカンファレンスへの参加を基軸として、どのような流れで死因を決めていくかを学んでいただきます。またその中で、中毒検査や画像検査がいかに実施され、どのように役立っているのかを体感していただきます。連携機関の千葉大学も見学していただき、施設ごとの特色の違いにも触れていただければと思っています。

米国などと違い、本邦では歴史的に法医と病理が分離しており、極端な言い方をすると、病理は死因究明が不得手、法医は病態解明が不得手になっている面があると思います。本プログラムを通じて、人材交流が進み、病態解明と死因究明のチーム医療が実現することを祈念しております。