第3回 順天堂大学

分子病理病態学 小林敏之・梶野一徳

病理・腫瘍学講座では、1) mTORC経路の解析と阻害剤の抗腫瘍活性(小林准教授)、2) CAF (Cancer-associated fibroblast) と腫瘍細胞との機能関連(折茂准教授)、3) ANCA関連血管炎の発症機序(濱野准教授)、4) 類内膜腺癌におけるMSIの関与(佐伯助教)、5) 中皮腫の組織分化過程(梶野准教授)の研究が進行中です。
1), 2)は培養細胞や動物実験を主体とする基礎的実験、3), 4), 5)は患者さん由来試料を用いる研究です。分子生物学的な基本実験から、臨床材料由来のRNA、DNA、蛋白の網羅的解析(共同研究施設の器機を使用)まで可能です。

人体病理病態学 八尾隆史

順天堂大学附属順天堂医院の病理部は、大学の講座である人体病理病態学講座を中心に、現在病理専門医10名を含む14名の常勤医で運営されています。この中で、年間に約2万件の組織診(約1600件の術中迅速診断を含む)および細胞診、それに約60体の病理解剖を行っています。
また、日常の病理診断業務と併行して研究活動も進めています。具体的には、腫瘍病理組織学像に免疫染色やゲノム解析等を組み合わせることで、組織形態と遺伝子異常の関連の解析を行っています。これにより、腫瘍の発生や発育進展、悪性度に関わる因子が解明されることを期待しています。

病理部には、消化管や骨軟部、肺、肝胆膵、乳腺、頭頸部といった主な臓器の専門性を有するスタッフが常駐しています。これらのスタッフの指導のもと、基礎的病理診断の習得はもとより、ゲノム医療を十分に理解して高度な医療に活用できる能力を持ち、死因究明を担う病理医を育成する体制を整えています。

法医学 齋藤一之

解剖医の力量は、精細な画像情報や各種検査データを駆使する臨床医と協力して、肉眼診断の段階でどこまで患者さんの疾病史を再構築することができるかにあります。
残念ながらわが国ではこれまで、法医学と病理学とが別々の領域として発展してきました。これには良いことも多いのですが、双方に苦手な(と思い込んでいる)領域を作っていることは否めません。そもそも死因究明に法医学、病理学の区別はありません。今後はよりシームレスに連携していきたいと思っています。

法医学研究室では、本学に来られる病理医の先生方が、剖検に関して必要と感じておられる、あるいは興味を持っておられる法医実務を経験できるよう、最大限お手伝いします。監察医務院などの関連施設との連携も容易です。心血管系の病理が一応専門分野ですが、外傷や医療事故関連など法医・病理隣接領域の症例も豊富です。

多くの先生とともに学ぶ機会を持てることを楽しみにしております。