第6回 中山敦仁(東京大学 人体病理学 博士課程1年生)

虎の門病院にて2年間の内科系初期研修を修了した後、本年4月より大学院へ入学しました。病理診断を学び始めて半年しか経過しておらず、標本のスライドガラスとアトラスを見比べながら格闘する毎日です。

僕はもともと生物学に興味があり、顕微鏡を覗くことが好きだったため、大学入学時から病理学に漠然とした興味を持っていました。学生時代には人体病理学教室に受け入れを許可いただき、深山正久前教授のもとでEBV関連胃癌の研究に従事しました。腫瘍細胞のウイルスコピー数に関して、臨床検体を用いた分子生物学的な実験を行いました。臨床的なクエスチョンに対して、組織・細胞・分子の様々なレベルで回答を出していく過程を体験し、その面白さと大変さの両方を味わいました。

一旦は臨床医を目指し、研修医として勤務し始めましたが、現場には現代の医療に解決できない問題が山積していました。例えば、患者さんの病気が診断できないので治療できない、ある治療法を行うとメカニズムは不明だが臨床的に奏功しない一群がいる、お亡くなりになったが原因が良くわからない等の問題がありました。そういった話を年長のドクターから聞く場合もあれば、自分自身が直面して無力さを感じることもありました。治療薬は進歩しているし、ゲノム医療も発展しているが、救命できない患者さんはまだ多く、病気の本態を明らかにする必要があると思いました。患者さんの検体や御遺体に接する病理医でなければこの使命は果たせないと思い、病理学を専門にすることを決意しました。

次年度の「つなぐ」プログラムでは、各大学で専門とされている臓器を深く学び、診断能力の向上に努めます。具体的には、福島県立医科大学では悪性リンパ腫などの血液疾患、順天堂大学では胃癌を含めた消化器系疾患の症例を特に経験したく思っています。

初心を忘れず、患者さん、臨床医を最大限支援できるように努める所存です。宜しくお願いします。